店頭展示用にケルビム・VLスポルティフフレームをディアゴナールとして制作しました
前編後編の2回に分けてご紹介するつもりでしたが、内容が増えてしまったので3回に分けます
その第2回目
通常ツーリングバイクを制作する時はロードバイクに比べて、フロント~センターを長く取ることが多いのはご承知の通り
フロント~センターを長く取る為にイジルフレーム設計は3つ
・トップチューブを長くする
・フォークオフセットを長く取る
・ヘッドアングルを寝かせる
トップチューブを長く取りステムを短くすることで、サドル~ハンドルの距離を変えずに必然的にフロント~センターは長くなります
コーナーリング時の最少半径が大きくなり、クイックなコーナーリングは苦手になりますが、ツーリングバイクの様にシッカリ減速してから曲がる走り方には適しています
また、フロントバッグ装着時にバッグ自体がフレームに近くなり、重量バランスが良くなります
ハンドリング特性はトレイル長が最も重要ですが、その数値(55mm)に違いは生まれてこないので、ハンドリング特性は変化しません
しかし、フレームサイズが極端に大きい場合は別ですが、ツーリングバイクの場合には、もっと前輪を前に出したいので、フォークオフセットを伸ばします
フロント~センターは伸びましたが、トレイル値が小さくなってしまい(40mm)これでは、ハンドリングが不安定になってしまします
大槻は通常、トレイル値を50mm台に設計することが殆どです
経験値ですが、このくらいが一番違和感が少なく、直進性・コーナーリング・ダンシング性能のバランスが取れていると思っています
では、トレイル値を増やす為にはどうすれば良いのか?
それはヘッドアングルを寝かせば対応出来ます
そのことで、更にフロント~センターが伸びてくれます
ヘッドアングルを寝かすと、トップチューブを若干伸ばさないと、サドル~ハンドルの距離が短くなってしまうので、調整をしています
この様に設計することで、サドル・ハンドル・ペダルの3角形を変更する事無く、フロント~センター長を伸ばす事が出来ました
フロント~センター長を伸ばす為にシートアングルを変化させる事も稀にありますが、シートアングルはペダルとサドルの位置関係が変化してしまう為、漕ぎにくくなってしまいます
(シートピラーのセットバックで対応することも可能です)
なぜ、こんなにフロントセンター長を伸ばす必要があるのか?
良く言われるのは(大槻も接客時にご説明することもありますが)トークリアランスを確保する為
ペダルが一番前に来たときに、ドロヨケ(タイヤ)とつま先がぶつかってしまうことを防ぐにはフロント~センター長を伸ばすことが最も効果的だからです
しかし、大槻はそれ以上にハンドルに対して前輪車軸を前に出したいという理由が主だと考えています
前輪車軸に対して、フロントバッグが若干後ろに位置しているのがお分かりになりますか?
コレも経験値ですが、車軸に対してバッグが後2:前1になる様にセットすると、最もハンドリングに影響が少なくなります
フロントバッグを取り付けることで、どうしてもハンドリングは無負荷に比べて、振られる様な感覚になってしまいますが、少しでも影響を少なくする為に後2:前1になる様にしています
このフレームの場合には、F-104Nがベストな選択だと思います
バッグは容量の大きさで選んでしまいがちですが、容量よりもフレームやパーツとの相性で選ぶ必要がありますし、大きな容量が必要ならバッグに合わせてフレームの設計をしてあげるべきだと思います
通常は自転車を手に入れてからバッグを選ぶことが多いと思いますので、フロントバッグの容量が大きく出来ない場合には、サドルバッグやサイドバッグなどで容量を増やしてください
容量の大きいバッグを選ぶとハンドリング性能が著しく低下してしまうので注意です
上写真は明らかにフロントバッグが大き過ぎますよネ
これではハンドルが左右に振られ、腕の力で抑え込まなくてはならず疲れてしまいます
ツーリングバイクのオーダーの場合には、まず最初に決めるのはバッグなんです
どんなバッグを装着するかで、フレームの設計は大きく変化していきます
自転車の紹介では無く、オーダーの仕方みたいな内容になってしまいましたが、次回はその他のパーツを紹介します