
いつもお世話になっているエイ出版社さんから「クロモリ ロードバイクの本」が発売されました
※CWSグループでのお取扱いはありません
ロードバイクの本ですから、勿論「旅自転車専門店」であるvelocraftは登場致しませんが、フレーム素材の貸出等で一部お手伝いさせて頂きました
各スチール製ロードバイクの紹介やインプレッションが主な内容ですが、カイセイ・レイノルズ・タンゲ・コロンバスなどのスチールパイプの紹介がされていますので、ツーリングバイクの制作にも役に立つ情報も多々あります
改めて「スチールパイプメーカーって結構あるな~」っという印象ですが、「ツーリングバイクに適したパイプって少ないな~」という印象もあります
本誌で紹介されていない台湾や中国系のフレームパイプは勉強不足で判りかねますが、カイセイ以外はそのままフルセットでツーリングバイク制作をするのには無理があるものばかり
ツーリングバイクには「カイセイ」が一番妥当だなっと改めて感じました
大槻が考えるツーリングバイク(キャンピングを除くランドナーやスポルティフ等)で超ノーマルなパイプサイズは以下の様に考えています(ラグ付フレームの場合)
ヘッドチューブ・・・Φ31.8mm 厚み1.0mm
トップチューブ・・・Φ25.4mm 厚み0.9or0.8mmバテッド
ダウンチューブ・・・Φ28.6mm 厚み0.9or0.8mmバテッド
シートチューブ・・・Φ28.6mm 厚み0.9or0.8mmバテッド
シートステー・・・Φ14-10.5mm 厚み0.8mm
チェーンステー・・・Φ22.2-12.5mm 厚み0.8mm
フォークブレード・・・Φ23mmOVAL 厚み1.0mm
コラム・・・Φ25.4mm 厚み1.6-2.2mmバテッド
車種や考え方で多少の差はあるかもしれませんが、極標準だと思います
そして、この極標準なパイプを全て生産しているのが「カイセイ」のみなんです!
前三角とチェーンステーは、どのメーカーでも問題ありません
しかしヘッドチューブ・シートステー・フォークブレードが、なかなか難しい
そして、この3点がロードバイクとツーリングバイクでパイプの種類が変わる部分でもあります
つまり、現在のスチールパイプはロードバイク用ばかりで、ツーリングバイクに適したパイプの生産が非常に少ないということ
ロードバイクの乗り味に近づけたスポルティフを制作するならロードバイク用のパイプを選択すれば良いのですが、トラディショナルなツーリングバイクを制作しようと思ったら同一のパイプメーカーでの制作は「カイセイ」以外は困難です
理由をパイプの種類別に簡単に解説します
ヘッドチューブ
スチールFフォークは今でも1”サイズが一般的ですが、1”と言ってもJISサイズとITAサイズの2種存在します
JISサイズは内径がΦ30mm・ITAサイズは内径がΦ30.2mmです
外径はラグ装着の場合外径はΦ31.8mmで決まってしまいますし、JISサイズで制作するには内径Φ30.0mmですから厚みは0.9mm必要です
しかし、制作時のパイプの変形や製品誤差も考えられますので「削りしろ」を含めて、1.0mmの厚みが必要となります
近年のスチールロードバイク系はITAが標準仕様なので、厚みは0.8mmとなり削りしろを含めて厚み0.9mmとなり、殆どのメーカーがヘッドチューブとして販売しているパイプがΦ31.8mm厚み0.9mmとなっています
ツーリングバイクでは伝統的にJISサイズのヘッドパーツを使用することが多い為、厚み0.9mmのヘッドチューブでは厚みが足りなく使用しにくいのです
(定番ヘッドパーツ 丹下・RB-661CはJISサイズしか生産されていません)
シートステー
ロードバイクに比べてクッション性を上げる為に細いパイプを使用することが多いシートステー
ロードバイクでも使用することはありますが、基本は最も太い部分でΦ14mmで、最も細い部分でΦ10.5mmがツーリングバイクでは標準的です
殆どのパイプメーカーでΦ14mmのパイプは生産されていますが、最も細い部分がもう少し太かったり(Φ12.5mmやΦ11.0mmなど)することもあります
ソケット形状では無く、プレート形状のリアエンドを使用することが多いツーリングバイクの場合には最も細い部分が多少太くても妥協することは出来ます
しかし、厚みに問題があります
厚みが0.6mm程度と薄いタイプが多く、ツーリングバイクに適しません
ロードバイクではシートステーにはサイドプルブレーキを装備する為のブレーキブリッジを付ける程度ですが、ツーリングバイクの場合にはブリッジ・カンチorセンタープル台座・アウター受け・キャリア用ダボ穴・ダイナモ台座等多数の小物を装備することが殆ど
ロードバイクに比べて非常に多くなりますし、ブレーキ台座はブレーキング時にシートステーを外側に押し出す力が加わりますからタワミ量も少なくしたいなどの理由で、どうしても厚みが必要なります
ですのでロードバイク用の薄いシートステーではダメなのです
フォークブレード
ロードバイクは太めのΦ24mmOVALをツーリングバイクでは細めのΦ23mmOVALを使用することが殆ど
「乗り心地」などの理由もありますが、最大の理由はフォークブレード内の隙間を広くする為
ツーリングバイクは泥除けや太いタイヤを装着する為にどうしてもフォークブレードの間を広く取っておく必要があります
24mmOVALパイプの横幅は18mm、23mmOVALパイプの横幅は16mmとブレード2本で4mmの差があります
あまりフォーククラウンの幅が広いと恰好悪いですし剛性感も落ちますから、クラウンの外幅は狭くしたい
でも内側は広く取りたい
そんな矛盾に対応する為に必要なサイズなんです
このフォークブレードが一番種類が少なく、カイセイ以外ではレイノルズしか現在生産されていません
ちなみに23mmOVALは昔は「レイノルズサイズ」なんて言われていた時期もありますので、レイノルズがオリジナルなんでしょうかネ?歴史は良く解りませんが・・・
文章だけで伝わり難いと思いますが、現在は「ロードバイク向けのパイプばっかりでツーリングバイク向けのパイプが少ない」という現状をご理解頂けたでしょうか?
勿論、ツーリングバイクが沢山売れれば各メーカーも生産してくるでしょうから、大槻も頑張って売らなくちゃですネ~
生産量以外にも強度の問題や各種安全規格などの問題も残されていますが、この辺はパイプメーカーさんに頑張ってもらうしかないですネ!
っということで、本の紹介では無く、スチールパイプの現状のお話しになってしまいましたが、何が言いたかったというと・・・
ツーリングバイクに適したvelocraftオリジナル・レイノルズ製フレームパイプが販売中!!という宣伝です(笑)
詳細や通販はpowerpitをご覧ください
※最近ブログの更新が少なくてスミマセンm(_ _)m
現在、完全に人手不足に陥っています
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