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velocraft流組立て基本編 vol.12

第12回は、クランク周辺の取付けです

基本的には説明書通りに組み付けていけばトラブルになることは無いと思いますが、フレームとの相性もありますので、チェックしながらの取付けが必要です

まず、今回使用するクランクセットですSUNXCDのクランクとチェーンリングでクランク長は165mm・リングは46-30Tを使用していきます

ロードバイクと比べてツーリングバイクの場合にはペダリングによる大きなトルク変化は少なく、急加速をするわけではありませんので、比較的短めの165mmを採用することが殆どですが、ロードバイクのペダリングを求めている方へ若干長めにすることもありますし、身長に合わせて160cm以下なら160mmや180cm以上なら170mmなど変化させることもあります

勿論、オーダーメイドの場合には使用するクランクやギア比等に合わせてシートアングルを変化させますし、マスプロ車ならフレームとの相性で使用出来るクランク長が決まってしまう場合もあります

SUNXCDのクランクは昔のシクロツーリストや49D等と同様のアウターリングがスパイダーを兼ねているタイプですので、8S以下のリアギアの場合にはTA社の5VISリングを使用することも可能ですが、今回は10Sですので純正のSUNXCDリングを使用します

クランクとチェーンリングの取付けは難しくはありませんが、まずアウターとクランクを取り付けてからインナーを取り付けてください
先にチェーンリング2枚を取り付けてしまうとクランクとアウターの取付けボルトが干渉してしまい、取り付ける事が出来ません

また、取付ボルトはクランクとアウターは9mmレンチと4mmアーレン、アウターとインナーは4mmアーレン2本を使用しますが、ボルトと工具の掛かりが浅い設定の為、ボルトに傷を付けない様に慎重に行ってください


クランクを取り付ける前に防錆の為、BBシャフトにグリスを薄く塗布しておきます

スギノのCBBALはシャフトが黒仕様なので、銀色にメッキされたBBシャフトと比べて若干サビ易い傾向があります

グリスはホンの少しでサビの進行を遅らせてあげられます


クランクは14mmのソケットレンチで固定出来ます
SUNXCDの場合には特に説明書も無く、指定トルクは解りませんがシマノの説明書によるとスクエアテーパーBBのフィキシングボルトの締め付けトルクは35~50Nmですので、今回は40Nmで固定しています

トルクが緩いとネジの緩みが気になるますし、締めすぎはクランクの取付け部が広がってしまったり、割れてしまったりが気になりますので、メーカーには適切な締付けトルクやグリスの有無をしっかりと明示してもらいたいですね

フィキシングボルトを固定したら、クランクキャップを取付けます
SUNXCDはアルミ製のネジ込みタイプが付属しており、恰好は良いですが、取付けの5mmアーレン部はかなり弱いので、ちょっとオーバートルクになるとナメてしまいます、注意してください



クランクを取付けたらフレームとの相性をチェックします
SUNXCDクランクの指定BBシャフト長は110mmなので、そのサイズで今回は組み付けています(チェーンライン43.5mm)

インナーチェーンリングとフレームとの隙間は約4mm、クランクとフレームとの隙間は約9mm開いています

この隙間がチェーンリング側で2mm以下フレーム側で5mm以下になると、ペダリングの際にフレームがタワミ、パーツとフレームが干渉してしまいます
今回は最低箇所が4mmですので、通常使用に問題になることはありません


しかし、通常使用が問題無ければそれで良い訳ではありません
外装式ギアの場合には、どんなに調整してもどんなに丁寧に乗車してもチェーンが外れる場合があります

チェーンの切れ端を用意して、チェーンが外れた際のフレームとの干渉をチェックします

チェーンが外れる事を前提に自転車を組み立てるなら、インナーとフレーム側は4mmしか隙間がありませんが、チェーンの厚みは約5.9mmありますので、チェーンがインナー側に引っ掛かりフレームにダメージを与えてしまいますから、BBシャフト長を長く変更させる必要があります
そうすると、チェーンラインは外に広がってしまいますので、多少なら使用上問題は無いのですが、アウターxローギアでチェーンを逆転させるとチェーンが落ちてしまう等の別のトラブルが出る可能性もあります

今回は「極普通」に組み立てるのがテーマですので、メーカー推奨の110mm長のままで進めていきます
※でも本当は113mmの方が良いと思います

フレームとチェーンリングの隙間はフレーム・チェーンステーの潰し方とラグ形状で決まりますので、オーダーする場合にはチェーンリングの大きさを決めておく必要があります
逆にオーダーの際にチェーンリングサイズを聞いてこない事があったら、適当に制作されてしまうこともあり得ますので、ご注意ください
場合によっては、ビルダーにパイプの潰し方を指定する必要もあります
ロードバイクの場合でしたらインナーギアは39~42Tの間でしょうから、そこまで気にする必要はありません



取付けるフロントディレーラーはマイクロシフトのR52SFです
このタイプは直付けタイプしか輸入されていませんので、別売のFDバンドと併用して取り付けます
使用するSUNXCDのバンドは前面が平らなので、FDに付属しているカラーを外してから取り付けます

マイクロシフトのFDはカラーが外れるタイプなので、ベストなFDバンドですが、カンパニョーロのFDはボルトとカラーが外せない機構ですので、別メーカーのFDバンドの方が(ダイアコンペ等)相性は良くなっています


FDの取付けは極標準的で難しくは無いと思います
平行に気を付けて、FD高さをアウターチェーンリングの上端から約1.5mmの位置にしています

さて、これでFDとクランクセットが付きましたので、次回はペダルとチェーンを取り付けていきます

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