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velocraft流組立て基本編 vol.19

殆どのパーツ装着と調整が終了し、いよいよ今回で自転車の形が出来上がります


velocraftではダミーのシートピラーを入れて、それをクランプして作業台に固定しています

つまり、使用するシートピラーを入れると、作業台に固定することが出来なくなるので、最終の作業がシートピラーとサドルの取付けとなります

まずは、その前に今までの作業で汚れた自転車を綺麗に掃除しておきます
既に泥除けは磨いてありますので、作業中に付いた汚れや指紋をふき取る程度ですし、フレームやパーツ類もメッキやアルミ部が磨きになっている物は使用していないので、ウエスでの乾拭き+α程度の作業となります


シートピラーはハンドル・ステムと同メーカーのニットウS65を使用します
同メーカーに合わせることで、磨き具合やアルマイト具合が一致するので、見ためのバランスが取れると思っています

ハンドルバーがveloorangeならシートピラーもveloorangeやハンドルバーがダイアコンペならシートピラーもダイアコンペという具合です

勿論、寸法さえ間違えなければ他社製品を組み合わせても一切問題はありません

サドルはブルックスのB17スタンダードのハニーカラー
大槻がパーツをチョイスする場合、サドル・ブレーキブラケット・バーテープの3か所を2色使いで選ぶ様にしています

今回なら、ブレーキブラケットとサドルが茶色系でバーテープをホワイトにしています
3か所全てをブラウン系やブラック系で統一してしまうと、ちょっとうるさいかな?と思っています
但し、ブレーキブラケットとサドルをブラウンにして、バーテープのシェラックニス塗りは比較的良くやる組み合わせですので、これだけは例外かな?



革サドルは、他素材のサドルと比べて表面がツルッとしていますので、一般的な上辺を水平にしてしまうと、お尻が前にズレテくる感覚になってしまいますので、若干前上げのセッティングにしています

ココは基本重視の部分では無く、フィーリング重視ですから、基準はあると思いますが、お好みで合わせて良いと思います


シートピラーの出しろは約8cmに合わせます
シートピラーの出しろはサドルの高さの位置調整には使いません
サドル高さはフレームのシートチューブで合わせるのと、ハンドルの高さで合わせます

シートピラーの出しろをハンドル高さで合わせるというのは、一般的では無いかも知れませんが、ハンドルバーが低いセッティングの方はフレームサイズを小さくしてシートピラーの出しろが長くなりますし、ハンドルバーが高い方はフレームサイズを大きくしてシートピラーの出しろが短くなります

学校(東京サイクルデザイン専門学校)の授業やCWSスタッフへの教育の時にも良く言うのですが、フレームサイズはサドルとハンドルの高低差で決まるのです
※それ以外にも要素は沢山ありますが・・・

ちなみにサドルの厚みが約6cmなので、シートチューブ上端からサドルトップまでの距離が約14cmとなり、薄いサドル(レーサー系の)にする場合にはシートピラーの出しろは長くして、サドル+シートピラーの出しろで14~15cmにしています
サドルが薄い場合には、スポーティなサドルになるということですから、スポーティさや見ための速さややる気を重視して、シートピラーの出しろを長く取っています
厚みが4cmのサドルなら、シートピラーの出しろは10~11cmという訳です

このことから2015年に発刊された「旅する自転車 ランドナー&スポルティーフの本(枻出版社)」に寄稿したフレーム設計の記事も、シートピラー出しろ+サドルの厚みを38mm幅のタイヤのランドナーでフレームサイズが560mmの場合には150mmという寸法で記載しました

勿論この位がバランスは良いと思いますが、8cmの出しろにしなくてはならない訳ではありませんから、ポジションや車種や全体のイメージで出しろは調整してください

ステムは首の長さは6cmにしておきます
MAX上にあげた状態が約8cmですから、2cm下げた位置

乗車ポジションや乗り心地で合わせるべきところですが、今回は展示用組立てということで、ステム長の2/3程度の突出しにしています

ステムを下げた事により、ブレーキワイヤーの高さが最初の設定である11cmから長くなりますが、これはアウターワイヤーが短くて、フロントバッグが開けにくくなることを避ける為で、元々ポジションが決まっているユーザーへの組立てなら、ステム位置を決めた時点でブレーキワイヤー長を合わせるのが、本来の基本だと思います
今回は展示用ということで、妥協しての組み付けとお考えください


全て終わったら、自転車を少し離れたところからチェックします

組立てのバランスは悪くないか、付け忘れが無いか、恰好良いか、など忘備チェックと主観で判断していきます

その後、シフトやブレーキなどのメカニカルチェックをしていきます







チェックが終わったら、自転車組立ては終了です

しかしツーリング車はこの状態では、まだ使用出来ません
ライトやバッグは自転車の一部だと思っていますし、スピードメーターやボトルなどのアクセサリーも必要です

次回は、このランドナーに取り付けるべきその他パーツ類をご紹介していきます
いよいよ、次回が最終回です 続きます・・・


velocraft流組立て基本編 vol.18

いよいよ組立ても仕上げの段階に入ってきました
今回はバーテープを巻いていきます


バーテープはツーリング車の基本とも言って良いVIVAコットンバーテープを使用します

今回の様な小さめブレーキレバーを使用する場合は、コットンや同じくVIVAのアースバーテープの様に薄めのバーテープが似合います
機能上問題は一切ないのですが、コルク製などの厚めを選んでしまうと、ブレーキレバーと比べて、見ためハンドルバーが極端に太く見えてしまう為、シルエットが若干崩れてしまいます


バーテープを巻き始める前に、ブレーキレバーバンド部に印を付けておきます
バーテープを巻いている最中にブレーキレバーバンドの位置がズレテしまっても修復できる様に保険を掛けています


ハンドルからブレーキワイヤーを外して、ステムをフレームから取り、作業台に固定します
velocraftで使用している作業台は、クルクルと回転してくれるので、フレームにハンドルバーを取り付けた状態で作業するよりも、数段作業が簡単になります


次にブレーキレバーバンド部に巻く為にバーテープを切り、ブレーキレバーバンドに貼り付けます
このバーテープの粘着力で、ブレーキレバーバンドを固定するので、力が加わると簡単にズレテしまいますから、先ほど油性インキで印をつけた訳です

そうしたら、ブレーキレバー本体をハンドルバーが外します
これで、下準備はOKです


エンドキャップの大きさとハンドルバー内径の相性を確認したら、ピッタリとエンドキャップが収まるのに必要な分のバーテープをハンドルバー外に出してから巻いていきます

つまり、エンドキャップが変わるとバーテープの巻き方が変わるということで、この作業をしておかないと、バーエンドキャップが緩いor入らないということが起きてしまいます

例えば、今回使用しているニットウB135ハンドルなら、VIVAのプラ製バーエンドキャップなら、コットンバーテープを1周分裏側に折り込んで丁度良いですが、ニットウのアルミ製バーエンドキャップですと、一切ハンドル裏側に折り込みません
バーエンドキャップを他種に交換する時はご注意ください


バーテープを1~2周巻いたら、バーエンドキャップを取付けます
この時点で、キチンとバーエンドキャップが装着出来、バーテープにも無駄なシワが無く、ハンドルバーが剥き出しになっていないかを確認します

コットンバーテープの場合には少ないですが、大槻の場合コルク製ですと5回に1回位、革製ですと5回に4回位、満足のいく仕上がりになっておらず、やり直します
自転車屋になって25年、バーテープも数千本は巻いていて、苦手な作業という訳では無いのですが、この位の確率でやり直す必要がある箇所です

よく、雑誌やメンテナンス本を見ると、バーテープを全て巻き終えてからバーエンドキャップを装着する様に書いてあることが多いですし、バーテープに付属している説明書にも同様に書いてある場合が殆どです

なんででしょうね?????


後は等間隔で巻いていき、ブレーキレバーバンド部はたすき掛けにします
ブレーキレバーの内側に入る箇所ですし、ブレーキレバー全体をたすき掛けにする訳では無いので、比較的簡単なやり方だと思います

バーテープの重なり具合を均一に近づけたいので、重なり具合を調整しながら、ピッタリくる様に何度も巻き直しますが、コットンバーテープの場合、テープ自体が伸びると伸びっぱなしになるので、なるべく1~2回の巻き直しで済むように慎重に行います
巻き直しをせずに1発で決まることは殆どありません

イメージですが、0.5mm単位で重なりを調整する必要がありますので結構シビア

勿論、ご要望があればブレーキワイヤーやシフトワイヤーがハンドルバーに沿う現代的なタイプでも、同様にバーテープを巻くことは可能ですが、自転車組立て全体の作業順序は変わりますし、比較的時間が掛かるので、UPチャージを頂いています


ブラケットを超えたら、また均一に巻いていき、最終箇所はハンドルバーの真下で真っ直ぐに切り終了です

最後の巻きが太くならない様に、重なり具合を調整して巻き終わりが真下に来るようにしてください

コットン以外のバーテープでは、巻き終わりに飾りテープやビニールテープを巻くことが多いですが、コットンの場合は基本切りっぱなしです
麻糸を巻いて補強するのを、アメリカメーカーを中心に見かけますが、ご要望がある場合にのみ作業しています


巻き終わったら、ブレーキレバーを戻して、最終チェックです
この時点で不具合が見つかると最初から全てやり直しですから、緊張の一瞬です


作業がすんだら、バーテープをラップで包みます
この後も作業は残っていますし、今回は展示用に組み立てていますので、汚れやすいバーテープを保護する意味合いがあります


反対側も作業して、フレームにハンドルを戻してワイヤーを掛ければバーテープ巻きは完成!

大槻が集中して作業するとバーテープ巻きは基本30~40分位で出来上がります
見ためがキレイではなくても、重なりが不均一で段差があっても、事故に繋がる様な部分ではありませんので、メンテナンスをこれから自身で始めようという方に、まず挑戦して頂きたい箇所
おおよそ片側1時間、両側2時間位の時間は最初必要だと思いますので、チャレンジしてみてください

さて、次回はサドル取付け~最終チェックをしていきます
続きます・・・

velocraft流組立て基本編 vol.17

今回はカンチブレーキの調整です

チドリとアーチワイヤーを使用することで、純正品のみの取付けでは出来ない様々なセッティングにすることが出来ます

まずは、今回のセッティング方法をご紹介します


普通のセッティングにする場合には2つの事をまず確認しておきます
1・前後のカンチ台座の幅
2・Y型ユニットリンクのアーチ部角度

今回のフレームはフロントのカンチ台座幅が73mm・リアが82mmでした
Y型ユニットリンクの角度は約80°

この2点が決まれば、セッティングは簡単です
カンチ台座の幅はBR-CT91の場合には約65~90mmの台座幅に無理なく対応出来ます
※台座幅は経験値です シマノのお客様相談窓口に以前問い合わせたところショップには教えない方針とのことでした

台座幅がフロント73mmですからシューの突出しは短めのシューシャフト長の1/3程度で、リア82mmですからシューの突出しは2/3程度すれば良さそうです
Y型ユニットリンクの角度は80°ですから、今回使用のアーチワイヤーも約80°にセッティングしてあげればOK

この2点のみで、簡単にセッティングの位置が全て決まります
後はそれに合わせて上げれば・・・



簡単に調整は終了です

以上、終わり!

インナーワイヤーはシフト同様に脚に当たっても簡単に取れてしまわない様にシッカリと止めて、飛び出している部分は折り曲げておきます



ちなみに、チドリの位置を変更するとブレーキフィーリングは大きく変化します

ブレーキの絶対的な制動力を上げたいなら、チドリの位置を下げたセッティングにします
ブレーキシューの移動距離が短くなり、制動力が上がります
但し、ブレーキシューの潰れやフレームの開きでグニュッとしたフィーリングになりますし、泥つまりが多くなり、オフロードには向きません

逆にチドリの位置が高いと、制動力が落ちてカチッとしたフィーリングに変化します
泥つまりが少なくなりますので、オフロードの使用に向いていますが、シクロクロス的な使用方法に限定されます
制動力が弱まっていますので、長いオフロードダウンヒルでは握力が無くなってしまいますからね
シクロクロスレースの写真を色々見て頂けると解ると思いますが、どれもチドリ位置が極めて高いセッティングになっていると思います
※最近はディスクブレーキが増えてしまっていますが・・・

よくマファック・クリテリウムの効きが悪いというご相談を頂くのですが、大体セッティングはチドリ位置が高い状態になっている場合が殆ど
クリテリウムの場合、あまりチドリを下げるとブレーキ本体とアーチワイヤーが干渉して切れやすくなってしまうので、チドリ位置を本体に当たらないギリギリ下にセッティングするだけで、大幅に制動力は改善しますので、ご参考まで

これで、メカニカルな部分は終了し、次はバーテープ巻きをしていきます
完成までもう少し、続きます・・・