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velocraft流組立て基本編 vol.16

今回から2回に分けてブレーキを取り付け調整していきます

ブレーキが終わればメカニカルな部分が終了し、バーテープとサドルを取付ければ組立ては終了ですから、先は見えてきました


ブレーキアーチは前述のシマノBR-CT91を使用しますが、このカンチブレーキには上写真にあるY型ユニットリンクと呼ばれる、チドリとアーチワイヤーがひとつの部品になったものが付属されています

このパーツを使用することで、ブレーキシュー調整やレバーのストローク調整が簡単に済むのですが、ブレーキワイヤーを外してハンドルバーを抜くタイプの輪行方法ですと、作業が難しくなるので使用しません



昔ながらのチドリとアーチワイヤーを使用します
上写真はどちらもダイアコンペ製の一般的なパーツですので、費用の追加も多くは掛かりません

このタイプにすることで、ブレーキ本体からアーチワイヤーの片側を外すと、Y型ユニットリンクよりもワイヤーの自由度が高くなりますので、ブレーキレバー側でのワイヤー着脱に向いています

また、カンチブレーキはチドリとアーチワイヤーの調整で、様々なブレーキフィーリングにすることが可能になり、パニックブレーキ優先やコントロール性優先、カチッとしたフィーリングやフニャッとしたフィーリング等、ユーザー個人のフィーリングに近づけることが出来ます

但し、今回は普通に組み立てるので、一般的な調整に留める予定です


ブレーキレバーのアウター受けは基本アウターを受けるだけなのですが、今回は上写真のアジャスト機能が付いたタイプに変更します

乗車していると徐々にブレーキシューが擦り減りストロークが長くなっていきますので、乗車中でもブレーキストロークの調整が出来る様にこのタイプを採用します

今回の自転車はフロントアウター受け(コラム部)にもアジャスターが付いているので、フロントの意味は少なくなってしまいますが、リアアウター受けはフレーム直付けのアジャスター無しなので、リアブレーキには特に有用になってくれます

使用するパーツが揃ったら、ワイヤーを取り付けていきます

今回はシマノのSLRブレーキアウターとステンレスインナーワイヤーを使用します

シマノ製は最近人気の日泉製ワイヤーと比べて、コシが有り固めですので、ブレーキング時のフィーリングがダイレクトで、制動力のロスが少なくブレーキが良く効く様になります

よく、古いブレーキワイヤーを使用している方が「ブレーキの制動力をもっと上げたい」とご相談頂くことも多いのですが、ブレーキワイヤーをインナーアウター共にシマノ製に変える事を第1歩としてオススメしています

カンチブレーキの本体を交換するよりもずっと制動力が変化することも多いと思います


アウターワイヤーにはシマノのロゴがプリントされていますので、アウターの長さを決める時にロゴが綺麗に見える様にセッティングしています
SHIMANOが上下逆に見えたらみっともないですよね 勿論性能に違いは出ませんが・・・

ロゴマークが付いているのはヤダという方も多くいらっしゃると思いますが、その際には日泉のワイヤーはロゴがプリントされていませんので、スッキリと出来ます

自転車の組立てで最も難しいのがアウターワイヤーだと思っています
※修理で一番難しいのは「パンク修理」

アウターワイヤーの色は?長さは?ワイヤーのカーブとアウターの許容範囲は?アウターの縮み量は?等、検討する課題は多岐に渡ります

店頭におりますと、ホイール組立てや泥除け取付けの作業をご依頼頂くことが多いですが、確かに、この様な作業も簡単という訳ではありませんが、ある程度の法則と作業手順が決まっていますので、悩む事は皆無です
しかし、アウターワイヤーの長さはコレといった正解が無く、今回の様なブレーキレバーの場合には本来使用するバッグにもよりますし、車種・フレームサイズ・ブレーキレバーの向き、配色のバランス・フレームとの相性等、毎回大いに悩んでしまいます

いつまで悩んでいても仕方が無いので「基本的なセッティング」をご紹介します


ステムをMAXまで上にした状態でハンドルバー上からブレーキアウターの頂点までの距離を11cmにしています
勿論、全ての自転車のアウター長さを統一しているわけでは無く、状況で変化させています

ロードバイク・・・9cm
スポルティフ・・・10cm
ランドナー・・・11cm
キャンピング・・・12cm
ロードバイクの場合にはフロントバッグを付けませんから短くてOKですし、キャンピングの場合には重厚感を出したいので、長めに取っています

ここから、フレームサイズで調整していきます
500mm未満・・・マイナス1cm
560mm以上・・・プラス1cm

左右のワイヤーの交差によって更に調整していきます
左右のブレーキワイヤーが交差しない・・・マイナス1cm


ハンドル上部でブレーキワイヤーが交差するかしないかはフレームアウター受けの位置で決まりますし、アウター受けの位置は使用するバッグの形状で変化します(フロントバッグのフタが前開きなのか後開きなのか等)場合によってはベルの位置によっても変化します

今回の場合は・・・
ランドナー+フレームサイズ560mm・ハンドル上部で交差しない=11cmとなります

勿論、この式が全てではありません
キャンピングの大きめフレームサイズであっても、ハンドル下部を肘をしっかり直角程度まで曲げて、峠をアグレッシブに下る方は恐らく14cmもハンドル上部からワイヤーが出ていると顎にワイヤーが当たってしまうかも知れませんし、ワイヤーは短い方がブレーキの効きが良くなりますから、超小型のフロントバッグを使用したスポルティフならロードバイクと同じ程度にアウターを短くした方が良いこともあります

しかし、大槻としては、店頭に並べている展示車のアウターワイヤーの長さばバラバラなのはキレイでは無いと思っていますし、ご購入頂くユーザー様にvelocraftの組立て方法をご理解頂き、展示車と納車のイメージがなるべく同じになる様に寸法を決めています
ご購入の場合は、ご指示頂ければ勿論ソレに合わせますので、「コダワリ」では無くイメージ作りなんだとご理解ください

さて、これでワイヤーが通りましたので、次回はブレーキ調整に入ります
続きます・・・

velocraft流組立て基本編 vol.15

15回目はハンドル周辺のパーツ選び

無数にあるハンドルやステムですが、普通のWレバーを使用したランドナーバーに絞って紹介致します


ランドナーバーはニットウ製のみオススメしています

ハンドルや種類だけでなく、ハンドル幅サイズも多種存在します
しかし、velocraftでオススメしているハンドルバーの種類は非常に限定的だと思います

1・B135 420mm幅
一番ポピュラーなランドナーバーだと思います
サイズは420mmの他に390mmと450mmがありますが、特殊な場合を除き(身長2m前後orオーストリッチF106をランドナーバーで使用時のみ450mm)420mmをお勧めしています
身長が低めの方ですと、ついつい390mmを選んでしまいがちですが、ツーリング車のアイデンティティーでもあるフロントバッグが装着出来なくなってしまう為、選ぶことはありません
ブレーキレバーで一般的なフーデッドレバーの場合にはこれを選択します

2・B136 400mm
身長が160cm程度の方にはB136がおすすめ
ハの字に広がるランドナーバーの中で最も垂直に近い広がりでエンド部とブレーキレバー部の幅の違いが少なく、幅が400mでもB135の420mmとほぼ変わらない幅を持っています
レバー部の幅が同じでもエンド部の幅が狭いので、小さ目のフレームサイズでも違和感無く、装着することが出来ます

3・B132 410mm
リーチが長く、ギドネットレバーとの相性が良い
他のランドナーバーと比べて、20mm位リーチが長いので、ギドネットレバーとの相性も良く使いやすい形状
コチラも幅390mmもラインナップされていますが、フロントバッグが装備しにくくなるので、ご提案することはありません
またリーチが長いので身長が大きい方でも、無理にトップチューブやステムを長くする必要が無くなるので、バランスが取れたシルエットが演出出来ます

今回はB135 420mmを使用します


ステムは上写真の3種類から選択します


1・ニットウ NTC-150
最もポピュラーなタイプで、どんなツーリング車にも対応しやすいと思います
グランボアから発売されているFバッグサポーターも取り付け出来ますので、機能としても申し分ありません
コスト最優先の場合に最適です

2・ニットウ NPステム
パールからマイナーチェンジしたNPステムは、NTCよりも高級品にしたい方に最適
サイズもNTCはΦ25.4mmのみですが、NPステムはΦ26mmもラインナップされていますので、ロード用バーとの組み合わせもしやすくなっています
グランボアとニットウからFバッグサポーターもラインナップされています

3・グランボア クロモリステム
クラシックな雰囲気を求める方や乗り心地を柔らかくしたい方にオススメ
ニットウのアルミ製と違いクロモリ製にメッキ処理ですので輝きが違いますから、よりクラシックさや高級感を出したい時にオススメです
このステムはアルミ製ステムと比べてタワミが大きいので、よく言えば乗り心地が柔らかい、悪く言えばブレーキング時に前にツンノメルという差があります
その形状からFバッグサポーターの高さ調整がしやすいので、大きめサイズのフレームに特に相性良く使用出来ます

今回はニットウNTC-150 80mmを使用します


フーデッドレバーはダイアコンペのDC204Qを使用します
その他高級版のGC202Qもありますが、「普通」のランドナーに似合うフーデッドブレーキレバーはこの2種類しかありません

カラーは基本204がブラックorブラウン、202がブラウンorホワイトとなります
(場合により、他カラーを選択出来る場合もあります)

これで、ハンドル・ステム・ブレーキレバーが決まりました
そのセッティングはどうしましょう

ハンドル下端の延長線上にブレーキレバー先端

ハンドル下端の延長線上からブレーキレバー先端が上2cm

ハンドル下端の延長線上からブレーキレバー先端が上4cm

セッティングで重要なのが、ブレーキレバーの取付け位置でしょう
上写真で解りやすく3種のセッティングをしました
どれが正解でどれが不正解という訳ではありませんが、大事なのはフードの上から手をかぶせた時のブレーキレバーの握りやすさとハンドルバー下を握った時のブレーキレバーの握りやすさのバランスでしょう

ブレーキレバーが下に付いているとハンドルバー下を握った時にはブレーキが掛けやすくなりますが、フードの上に手を置いた時には手首が後に返ってしまい、握りやすいとは言えません
積極的に下ハンを握る方に向いているセッティングです
よくハンドルの高さとサドルの高さが同じか若干ハンドルの方が高い極端にハンドルバーが高い方がいますが、これはハンドル下を積極的に握る方のセッティングで、ブレーキレバーが下方に付いていることが多いですよね

逆に上に付けると、フードの上に手を置きやすくなりますが、下ハンドルは握らないというセッティングですね
カンチブレーキやセンタープルの様に近年のサイドプルやディスクブレーキと違い制動力が弱めのブレーキの場合は下り坂は厳しくなります
フード上からのブレーキングではスピードコントロール程度は可能ですが、パニックブレーキはほぼ不可能だと思います(握力によりますが)

過去に自転車専門誌(どの雑誌だったか忘れました(汗))に寄稿したことがありますがスポーツバイクの場合ブレーキに求められる性能はスピードコントロールとよく言われています
しかしパニックブレーキも非常に重要です
いくらコントロール性が良くても絶対的な制動力が無ければイザという時に止まりきれませんからね
ブレーキを製造しているメーカーさんの話しでもコントロール性と制動力は相反する箇所があり、そのバランスは各個人で感覚が違い、万人に受け入れられる性能バランスを出すのが設計で最も難しいと仰っていました
正にその通りだと思います

その為、レバーを4cmも上げる様なセッティングをした自転車は峠に行く様なことがない、平地用のセッティングとなり、ツーリングバイクとしては使えないセッティングと言えると思います
但し、近年のロードバイクは制動力が極端に上がっていますので、フード上からのブレーキングのみで、強力な制動力を持っています
強力なパニックブレーキ性能を保持しながらスピードコントロール性も考慮しているという印象で、パニックブレーキ側に重きを置いていると感じています
レバーを上げるセッティングは強力なブレーキングパワーがあるブレーキシステムのみとしてください

っということで、基本的にvelocraftでは上写真真ん中のハンドルバー下端の延長線上からプラス2cm位で組み付けています(オーナーの指示があればソチラを優先します)


ステムにはコレ以上コラム内に埋め込まなくてはならないラインが書いてありますので、ラインぎりぎりのところでフレームに固定します
つまり、一番ハンドル位置が高い箇所ということです
これはブレーキワイヤーの長さを決める為に、そうしているだけなので、ステムが一番高い位置で乗るという訳ではありません


ハンドルバーの角度は、先ほどのブレーキレバー取付と同じで、前上げにし過ぎるとハンドルバー下が持ち難くなりますので、ハンドルバー底面が地面に対して平行~前上げ5°程度としています

次はブレーキのセッティングです
続きます・・・

velocraft流組立て基本編 vol.14

今回でギアシフト系のパーツアッセンブルは終了します

シマノやカンパニョーロ等のコンポーネントで制作する場合は、ギア比以外はさほど考えて制作する必要は無いのですが、サードパーティメーカーを採用すると、とたんに難しくなるのが自転車パーツ

ツーリング車用のコンポーネントはありませんから、基本的にメーカー推奨や縛りに頼らずに自らの経験と技術でアッセンブルしなければいけません
ビンテージパーツを採用する場合がその極め付けだと思いますが、現行品であっても多くのデータが必要です


シフトレバーはシマノのWレバーSL-7900を使用します
左・フリクションの右・インデックスの10段タイプとしてシマノ製唯一の製品です

その他代表的なWレバーにマイクロシフトとダイアコンペがありますが、マイクロシフトはバーコンをダウンチューブに取り付ける様な形状で好きになれませんし、ダイアコンペはラチェットタイプのフリクションですから、インデックス機構が無く、操作は指先の感覚に頼ることになります

5段や6段ギアでしたら、フリクションタイプでもテクニックで操作可能だと思いますが、10段ともなると、僅かなレバー操作でギア選択を行いますので、シフト操作を1発で決めることはほぼ不可能

ギア変速をする度に微調整が必要になりますので、ハンドルバーから手を放す時間が長くなり、安全で使いやすいとは言えないと思います

「フリクションなら調整が狂っても操作し続けられる」と言われることもありますが、調整が狂ったなら調整し直せば良いだけですし、調整が狂った時の為に平常時に操作感の悪さを我慢する必要はないと思います

どうしてもフリクション機能を残したいなら、9段仕様のSL-7700や旧モデルの10段仕様のSL-7800を使用する手はあります

勿論「操作感の悪さを楽しむ」という遊び心は、大槻として大いに賛成出来る考え方です
「シングルスピードの固定ギア」「前後のブレーキを外してトリックをするBMX(公道以外専用パークでの使用)」「FATバイクで舗装路」なんかと同じ考え方ですよね
最近のBMXですと、あえて「前輪をはずす」なんて人も出てきています(笑)


Wレバーは左は手で締め込むだけで、右はマイナスドライバーで固定するだけで簡単に取付け出来ます

Wレバー台座は塗装されていないことが殆どですから、薄くグリスを塗布しておきます


このフレームはBB裏にM5ネジを切っていますので、プラスティック製のワイヤーリードを取り付けておきます

この時に気を付けるのが取付ボルトの長さで、長すぎるとBBと干渉してしまいますので、適正な長さに合わせる必要があります

おおよそ10~12mmの長さで緩み止め用のスプリングワッシャーを取り付ける様にしています

BBを取り付ける前にワイヤーリードを付けてしまうと、BBを傷つける可能性があるので、通常はこの段階で作業していますし、BBを外す時は先にワイヤーリード固定ボルトを緩めてから作業しています


リアディレーラー部アウターワイヤーもWレバーに付属していますので、長さを合わせておきます
アウターキャップはフレーム側が黒いプラスティック製でディレーラー側はシルバーのアルミ製を使用します

ディレーラー側はアウターのカーブがキツくアウターキャップが変形しやすい為です
アウターワイヤーのロゴマークも出来るだけ合わせておきましょう


インナーワイヤーも通したら、シフト調整を行います

マイクロシフトのディレーラーには英語の説明書が付属していますので、トルクを含めてそれに合わせて調整すればOKですが、ほぼシマノ違いがありませんので、オンラインで公表されているシマノの説明書を参考にしても良いと思います


調整が終了したら、余分なインナーワイヤーをカットします
大槻は15~20mm位の長さにカットしています
上写真は15mm残してカットしたものですが、比較的短めだと思います
リアディレーラー側はあまり気にしなくて良いのですが、フロントは脚に近い場所なので、少しでも当たり難くする為で、当たりやすいとインナーキャップが取れて解れたワイヤーが脚に刺さることを少しでも減らすことが目的です


その為、インナーキャップは手で引っ張ったくらいでは取れない様にすこし大げさすぎる程度に固定しています

これで、シフト系はおしまい、次はハンドルからのブレーキ系です
続きます・・・